さがみはら創業ゼミ卒業生座談会

カテゴリー:

「起業したい」という熱い想いを抱きながらも、具体的な一歩を踏み出せずにいる方々へ。
「さがみはら創業ゼミ」は、あなたのビジネスアイデアを現実のものとし、確かな成功へと導くための集中講座です。今回は、実際にゼミを体験し、起業を実現した卒業生の皆さんと、講師を務める山岸氏との座談会の様子をお届けします。

■Talk Member

―― 皆さんが起業や事業拡大(法人化)しようと思ったきっかけは?

北村さん: 設立は2024年4月です。看護師として独立したいと考えていましたが、元々在宅医療に携わっていたので、訪問看護にも興味がありました。病院勤務時には、退院後には皆がそれぞれ自分らしい生活を送れるイメージがありましたが、実際在宅に入ってみると、医療依存度の高い方々が酸素や点滴をしているため、家から一歩も出られない状況に直面していることを知りました。そのような方々やご家族が「海に行きたい」「ドライブに行きたい」とおっしゃるのを聞き、医療的な行為ができる人が近くにいないと外出が難しい現状に気づきました。そこで、医療依存度が高い方でも自分らしい生活を手に入れられるような支援をしたい、と思ったのが起業のきっかけです。創業ゼミに通い、最終発表で声をかけていただき、クラウドファンディングも行い、現在訪問看護と搬送事業を並行して展開しています。

佐々木さん: 設立は2024年7月です。元々は都内のコンサル会社に約8年勤めていました。独立後、個人事業として採用代行(コンサルティング)を約1年前からやっていました。法人化しようと思ったきっかけは、単純に「1人でやっているのがあまり面白くないな」と感じたからです。個人でもできますが、会社にして同じ思いで働ける人たちを集めてやっていきたい、と思いました。お客さんに採用のお手伝いをする中で、「自分が経験したことなら、自分でやるべきだ」という思いが強くなり、法人化を決めました。

大山さん: 私はまず融資を受けたくて、商工会議所に相談しに行きました。当時、まだ法人設立したばかりで決算書がなく、個人事業主時代の確定申告書が必要と言われたのですが、その内容が「生きてたら全部経費」のような状態でお恥ずかしい限りでした。そこで「真面目にやれば融資を受けられる可能性がある」と教えていただき、その中の一つとして創業ゼミを紹介されたので、試しに受けてみようと思いました。

―― 皆さんと相模原市との関わりは?

佐々木さん: 相模原は私の出身地です。生まれてから高校を卒業するまで、ずっと相模原にいました。
北村さん: 私は相模原の医師会が運営する専門学校(相模原看護専門学校)看護学生時代を過ごし、就職先も緑区にある相模原中央病院でキャリアをスタートしました。それまでは相模原には縁がなく、地元は八王子です。
大山さん: 私は相模原には全く縁がなかったのですが、以前、親族が相模原市に住んでいたので居候したことがありました。その時、相模原をすごく気に入って、「いい街だな」と思っていました。田舎でもなく都会でもなく、お店もあって住みやすく感じました。仕事をしていく中で商工会議所の方との接点があり、コロナ禍で中小企業支援施策が出た時に、相模原商工会議所に関わるようになったのがきっかけです。

―― 創業ゼミを知ったきっかけを教えてください。

北村さん: 法人化するにあたり、何も分からなかったので、インターネットで調べました。すると、相模原市産業振興財団の中小企業診断士さんが月2回相談を通じてアイデアの整理を手伝っていただける事業を見つけ、そこでお会いした先生に、創業ゼミのことを紹介され、「行ってみよう」と思い申し込みました。
大山さん: 先ほどお話ししたように、融資を受けたくて商工会議所に相談しに行った際に、創業ゼミがあることを教えてもらい、参加しました。
佐々木さん: 創業に関する支援制度を調べている中で、「特定創業支援事業」というものがあることを知りました。創業融資を受けるにあたって、その参加が条件の一つだったので参加を決めました。元々は創業場所を都内に近い方が良いかとも考えていましたが、「どうせ納税するなら地元が良い」と考えた時に、相模原の制度が引っかかってきたという形です。

―― 山岸先生、創業ゼミはどのような内容か教えてください。

山岸氏: 創業に必要な要素を分解し、インプットを4日間で行います。5日目にはそのインプット内容を受けて、皆さんに事業計画を作成し発表していただきます。インプットの内容としては、「ビジネスプラン」「マーケティングプラン」「人材育成・財務会計」「IT・プレゼンスキル」の4つをもとにした事業コンセプトの作り込みの部分です。創業を目指す方の中には、創業したいけれども具体的な計画が決まらずに一歩踏み出せない方も少なくありません。そのため、ビジネスの「頭の部分」をきちんと決めることが非常に重要だと考えています。 具体的には、「Will(やりたいこと)」「Can(できること)」「Must(ニーズすべきこと)」という3つの視点から、徹底的に棚卸しを行い、それを事業コンセプトに落とし込む作業に時間をかけるようにしています。昨年からはプレ創業ゼミも導入し、この事業コンセプトの重要性を最初にお伝えしています。

―― 創業ゼミを通して得られた学びや気づきについて教えてください。

佐々木さん: 元々1人で仕事をすることが多かったので、他の人が何を考えているのか、採用以外の分野にどういう興味・関心を持って取り組んでいるのかを知ることが、私にとって非常に刺激的でした。視点や考え方を受け入れ、回を重ねるごとに深く知ることができたのは、単純に面白かったです。他の参加者の方のマーケティングプランなどの話を聞いて「なるほどな」と思う視点も得られましたし、自分の意見に対してアドバイスをもらえるのも良かったです。ゼミではある程度「議論の土台が揃っている」ため、質の高い議論ができたと感じています。
大山さん: 私がゼミを受けてみて一番感じたのは、「人との交流の大切さ」です。最初はとにかく人と関わりたくなくて、プレゼミの時点でも早く帰りたかったくらいでした。ですが、ゼミを通じて、私が会社のトップとしてもっと人に関わっていかないと会社としてダメだと感じるようになりました。他の受講生や先生との対話を通じて、自分自身がもっと柔軟になる必要性を学びました。今まで他の方の意見を聞く機会がなかったので、皆さんの多様な目標や考えに影響を受けました。また、コンサルタントのような人が苦手だったのですが、山岸先生の話はすんなりと受け入れられ、個別相談でプレゼンのブラッシュアップもしていただきました。
北村さん: 私はやりたいことが多すぎたので、それを整理する上で、山岸先生にはたくさんアイデアの整理を手伝っていただきました。特に、「結局誰に何を届けたいのか?」というところを、まずは絞らなければいけない、というアドバイスが役立ちました。また、数字やお金の部分、特に資金調達や資金繰りが苦手だったので、その点を現実味を持って教えていただけたのは大変助かりました。

―― 創業ゼミを受講した中で印象に残っている出来事や人はいますか?

大山さん: ある女性の受講生の方にとても影響を受けました。彼女はご自身を売り込むのがとても上手で、皆に声をかけたり、小さな気遣いをしていました。当初はコミュ障の私にはしんどいと感じたのですが、「これは今後やらないとダメだ」と強く思いました。プレゼンの際も、そういった方は応援されますし、実際にその方は優勝されていました。私自身プレゼンも頑張りましたが、プラスアルファで足りないのはそこだと感じ、今後は自分のため、会社のために、もっと行動を起こしていかないといけないと強く印象に残っています。
佐々木さん: 私と同じ苗字の佐々木さんという方がいらっしゃって、よく同じテーブルになりました。最初の頃は「何をしようか分からない」という話をされていたのですが、3回目か4回目くらいの時には、めちゃくちゃパワーアップしていて驚きました。彼女はチーズ作りをしたいというアイデアを、ふわっとした状態から、具体的な計画まで進めていました。その成長する姿を見て、「私も頑張ろう」と思いましたし、プレゼンをしっかり準備して頑張ろうというモチベーションになりました。今でも、あれくらいの熱量を持たないとダメだな、と思い出します。
北村さん: 会社のメンバーの一人、小林も一緒にゼミを受けてもらったことです。山岸先生にいただいた資料を元に、私が事業で何をしたいのかを一番理解しているのは私ですが、それを資料に落とし込まないと会社のメンバーに共有できないと感じました。なので、休みの日はずっと一緒にその資料を詰めて、「こうだよね」「やりたいことはこういうことだから」という会話をしながら、みんなで同じ方向を向いて進んでいけるように、ということをやっていました。

―― 創業ゼミで学んだことを、現在どのように実践し、これからどのようにしていきたいですか?

大山さん: 創業ゼミを受けて、その後、無事に融資が決まりました。今は中国輸入OEMに挑戦しています。元々私は保育業界出身なので、保育士の独立が増えている現状に合わせ、彼女たちと関わりながら、結果として保育業界に貢献できるような形を目指しています。現在は、保育用品の自社ブランド立ち上げのため、中国の工場と話し合い、改良を加えてサンプル発注まで進めており、今年の冬には販売したいと考えています。ゼミの影響で「交流が大事だよね」ということを強く学んだので、以前は「死んでもやりたくない」と思っていたSNSにも、今では積極的に自分自身が出て発信するようにしています。
北村さん: 一番役に立ったと感じたのは、自分で抱え込まず、仲間にちゃんと仕事を譲渡していくというところですね。小林と一緒に受けた時に感じたのですが、自分が抱え込んでしまうと、スピードが遅くなってしまうんです。私が「地域に対してこうしていきたい」「こう還元していきたい」というのを、仲間たちが理解した上で動いていってもらえるように、搬送業も訪問看護も全てリーダーは仲間に任せる形で動いてもらっています。この気づきは、ゼミを通して得られて本当に良かったです。現在、非常勤を含め看護師9名、理学療法士、鍼灸師が1名ずつ在籍しています。
佐々木さん: ビジネスプランやマーケティングなど、自分で考えはするものの、人に話す機会がこれまであまりなかったので、ゼミで話して意見をもらい、人の話も聞けるというのは、なかなか珍しく、非常に貴重な機会でした。単純に、そういった機会はビジネスに必要だと強く感じたので、今後は社員にもできる限りそういった話をする機会を作ろうと強く思っています。現在、アルバイトを4名雇用し、コンサルの細かい業務を手伝ってもらっています。

―― 最後に山岸先生から、これから創業を目指す方々へのメッセージをお願いします。

山岸氏: さがみはら創業ゼミでは、「スキル」と「モチベーション」の「両方」を学ぶことができます。スキルだけあっても、人との関わりや「やってやろう」というモチベーションがないとうまくいきません。1人で考えるだけの知識や、オンラインの学習では事足りてしまう部分もありますが、私たちのゼミでは約25名の定員の中で、グループで話し合うことを通じて、単なる知識だけでなく、人との関わり合いの中でモチベーションを高めていけるという点が強みです。皆さんもおっしゃっていましたが、周りの人から影響を受けたり、モチベーションを高め合えるという「グループダイナミックス」の効果は、リアルで対面でやるからこそ得られるものだと感じています。


撮影協力: 株式会社 Kapinon studio 山田恵美 様 https://kapinon.com/ 取材場所提供: コワーキングスペース&シェアオフィス BUSO AGORA https://www.incubation-office-agora.com/

■創業支援担当者メッセージ

さがみはら創業ゼミは、参加者一人ひとりの「強み」にフォーカスし、「勝てる事業ドメインの選定」や「魅力あるビジネスプランの策定」を目指す、全5回の集中講座です。ビジネスの魅力を伝えるために必要となる「プレゼンテーション能力」の向上にも取り組みます。
卒業後は、相模原商工会議所が用意する多彩な支援メニューで、あなたの夢の実現を力強くサポート!創業に向けて、勇気ある一歩を踏み出す皆さまのご参加を心よりお待ちしています!!

■創業に関する支援メニューはコチラ

お問い合わせ
相模原商工会議所 経営支援課
電話:042-753-8135